✭荒野の風に吹かれて✭


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もしもの話で始まる。



もし、あなたが何の武器も持たずに、何も武器にできるものが身の回りにない状態で、自然の中、例えば山の中にぽつねんと取り残されたとしたら、どれくらい生き延びられるだろうか。日中はまだしも、夜になると熊や狼に襲われ素手で戦う事になる。そうなったとしたら、そう長くは生き延びられないかも知れない。



さて、今回何故こんな不穏な話で始まるのかというと、この様な生死が懸かった極度のストレス状態において、どうやらヒトは3分間しか緊張や集中状態を維持できないと言う事を聞いたからだ。



3分間とはどういうことだろうか。この大自然の中にほっぽり出され、銃やナイフといった武器を持たずしてあらゆる動物と戦う場合、3分以内に決着がついてしまうのだそうだ。ヒトが走っても、蹴り飛ばそうとしても、その能力は殆どの動物の比ではないし、大山倍達氏や熊殺しウイリー•ウイリアムス氏のような空手家でもない限り、勝率はかなり低いであろう。



3分以内に抹殺されかねない環境下、生き延びる為に持てる能力を最大限に高め、情報収集力や最善の判断を瞬時に行おうと全エネルギーを集中し消費する、その時間が人の体には3分間しか許されないということなのだ。


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そう言えば、休みの時、朝からのべつ幕無しに小言を言ったり、無駄話をしていると、妻からよくうるさがられる。これはどうやら、話を聞こうと集中できるヒトの3分間の限界を超えているからなのだろう。ただ単に私の小言の時間が長いからであって、私自身や話そのものに原因は無いのである。うん、そう思う。

❝よう喋るなぁ、少し静かに出来へんのかいな。❞



身の回りを見渡してみると、この3分間の砂時計は至るところにあることに気がついた。いくつか、上げてみようか。



先ずは、動物との闘いは無くとも、ヒトはよく闘う。そう、格闘技である。ボクシング、相撲、柔道に、空手。何れも闘う時間は3分ほどで一旦休憩である。それ以上は、集中力がもたないので危険なのだろう。だから一旦止め、休んでから再び戦うのだ。



他にも色々あるぞ。戦う場合だけとは限らない。インスタントラーメンの待ち時間は3分以内が多い。食べたい気持ちを維持出来るのは3分。待ち時間4分や5分といった物もあるが、大概テレビを観たり、ふと待っている事を忘れがちだ。



さらに、3分間クッキング、3分間天気予報、そして会社や学校、冠婚葬祭の場でみんなの注目度の高いものといえば、3分間スピーチ。どれもこれも、3分間を超えると非難轟々、❝おい、長すぎるぞ❞とクレームを頂くことになる。特に長いスピーチはひんしゅくをかうし、ともすれば人の生死にまで関わることもある。



さらにさらに、人類を超える場合では、ウルトラマンが怪獣と戦い、極度の緊張感を持って集中して戦略を立てられるのも3分間が限度だ。それ以上は、ガッシュ、ウワッハと叫びながら片膝立ちになってしまう。ウルトラマンも人の子って事なのか。



そして、世の人々が口ずさんだりするポップソングなど歌謡曲、これがまた3分間程度の曲が非常に多い。歌う方もさぞかしながら、聴く方もあんまり長いと飽きが来るのであろうか。あのけん玉で有名な演歌歌手 三上ひろしさんが紅白歌合戦で曲中けん玉チャレンジなる集中力の維持をご披露されたが、一曲3分間に集中しチャレンジするのは理に適っているという事になる。


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さて、では逆に3分間を超える緊張と集中を強いられるような現場ではどうなっているのであろうか。



例えばF1レースのドライバーはどうであろう。もちろん訓練や練習で運転技術やリアクションを鍛えるのだろうが、この3分間の砂時計を連続でひっくり返し続けなければならず、途切れる集中力を少しでも長く維持する為の訓練を行っているに違いない。必ず、そのタイミングがどのドライバーにもやってくる。その瞬間のミスを狙いドライバー同士がいざ、アタックし合う。そういうことである。



野球のピッチャーにも同じことが言えるのだろう。ピッチャーが一人の打者に対し、裏をかいたりピッチング内容の組み立てを短時間に行うその集中力を持続出来るのには限界があるということ。ピッチャーにとっての理想はさっさと投げて3分以内に一人ずつ仕留めること。そしてバッターにとっては、10球以上ファウルで粘り長く投げさせる事、そうすればミスを誘いチャンスが生まれる。



それから空き巣狙い目的で他人の家を訪問される方々も、ことは3分以内に済ませないと、致命的な証拠を残してしまう可能性が高くなるが、侵入することに緊張感やストレスを持たず、リラックスした状態で犯罪を強行する神経の太い輩もいるだろうから、戸締まりはしっかりしないといけません。



現在、ワールドカップサッカーの地方予選真っ盛りであるが、各国のナショナルチームが緊迫した試合を展開している。熱狂と緊張に包まれながら同点で延長、さらにアディショナルタイムが加えられるということも少なからずある。そのアディショナルタイムが3分間以上ある場合、決して目を離さず、母国の勝利を祈りながら観戦するべし。



❝ああ、もうペナルティーキックに入るな❞と緊張が途切れた瞬間、試合が決する事はサッカーファンにとっては有名な事実だ。プレーヤーの方にとってはこの3分間の砂時計が途切れた瞬間、これが要注意の魔の時間である。


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ということで3分間の砂時計、最後の一粒が落ちたあとからの魔の時間の訪れに、日頃から気をつけて頂きたい。あちらこちらで砂時計がサラサラと時間を刻んでいるこの日常において、もし魔の時間に差し掛かる可能性がある場合、ストレスから開放されるような休憩を挟んで継続できるようなちょっとした工夫とシステムを作ることが大切ですね。



自分の小言が本当に伝わっているのかと、友人や会社の部下、妻や子供たちに不満をお漏らしの方々。自分の行動をよーく冷静に振り返ってみると、実はあなたの切々と説く教えが、意外と長々と続いている事実に気が付くのでは?



『言わず語らず』が、どちらの立場の人にも一番いいのだろうが、これがなかなか厄介な現代。しかも自分の意見を言わないとなめられてしまうアメリカ社会においては、言葉を使わず理解しろと期待する方がことさら無理なことだ。


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しかし、決めのメッセージを伝えたければ、3分以内にピシッと、これです。

さて、出来ますかね。おっと、このブログが長文になってしまったぞい。失礼



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肩肘張らず、時に追われず、気楽なテキサスライフを皆様と共に。


Hasta la vista. Nos vemos.


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